はじめに
楽譜には「原典版」というものと「校訂版」というものがあります。楽譜を購入する際に出版元など、楽譜の種類について考える機会は少ないかもしれません。しかし、練習の際にこのどちらを使っているかによって、意識することも変わってくるので、是非この2つの違いを知り、お互いを上手に使い分けていただけたらと思います。
原典版とは
作曲家が実際に書いた譜面を、なるべくそのままの形で再現されている楽譜が原典版です。そのため、原典版は作曲家の考えが一番楽譜に反映されている楽譜だと言えます。よくプロの演奏家をはじめ、音大受験生にも使用されている原典版として、「ウィーン原典版」や「ヘンレ原典版」「ベーレンライター原典版」などがあります。
曲を忠実に演奏したいという時には、演奏家はこの楽譜が必要になります。クラシック音楽は再現性が重要視されるので、初めての曲を練習するときは特に、原典版のチェックが必須になります。
原典版で練習を重ねた上で校正版を練習すると、曲への解釈も広がり、より良い演奏をする事が出来るので、まずは、作曲家の考えをきちんと汲み取るためにも、必ず原典版を見て、その後に校訂版で他の人の解釈を理解し、勉強していくのが良いでしょう。
校訂版とは
より良い演奏が実現出来るように表現の仕方などの指示を、有名な専門家が書き換えた楽譜が校訂版です。具体的には、どの範囲を一つのフレーズとして演奏するかを決めたり、演奏する際の表現をどのように行うかなど、演奏に関わる様々な指示を書き加えています。
また、ピアノがない時代にオルガンなどの楽器にあわせて作った楽曲を、ピアノで演奏するために編曲したものもあります。
よく使用される校訂版としては、ピアノではエキエル版・コルトー版・シュナーベル版・ブゾーニ版・アラウ版などがあります。
校訂版には、演奏する上で役立つ指示が加わっているので、表現力を高めたいという時に役立ちます。また曲について詳しく学びたいという時も、校訂版を活用するとより一層深く知る事が出来るので状況に合わせて原典版とうまく使い分けましょう。
まとめ
音大受験において、原典版を用いての練習は必須です。今まで校訂版を用いて練習してきた方も、原典版での練習をしたほうが良いでしょう。また、作曲家によってどの原典版が良いか変わってくるので、買う前にしっかりと調べて買うようにしましょう。
原典版は言い換えると、作曲者の意図を忠実に再現しようとしている校訂版とも言えます。なので、同じ原典版でも少し誤差があるので、しっかりと見比べて買うようにしましょう。