拍手をする2つのタイミング
クラシックのコンサートでは基本的に次の2つのタイミングで拍手をします。
- 演奏者の入場
- 曲の終わり
演奏者の入場
オーケストラ全体が入場する際に拍手はしませんが、コンサートマスター(指揮者の一番近くでヴァイオリンを弾いている人)が入場した際には、基本的に拍手で迎えます。ですが、コンサートマスター(以下「コンマス」)が楽団と一緒に入場している際は拍手はしません。
コンマス・コンミスの入場
コンマスの入場が終わったら、すぐに拍手を辞めて、静かにします。オケのチューニングが始まるので、拍手や雑音で邪魔をしないようにしましょう。
指揮者の入場
指揮者が入場した際には、大きな拍手で迎えましょう。オーケストラの団員も拍手をしている場合もあります。舞台袖からも大きな拍手が聞こえるため、拍手を観客が忘れてしまうことは少ないでしょう。
ソリストの入場
曲目によってソリストがいる場合といない場合がありますが、ソリストが入場する際は大きな拍手で迎えます。ソリストが入場した後は、すぐに演奏が始まるので、拍手をやめて雑音を出さないように気を付けましょう。
曲の終わり
この場面が一番、拍手の時間も長く聴衆の感情が最も反映される大事な拍手のポイントになります。演奏会のプログラムが終了したあとは、盛大な拍手で演奏会の感動を奏者に伝えてあげましょう。その際に指揮者やソリスト、場合によってはコンマスなども、一旦舞台袖に戻り、また舞台上に戻ってくるという行為を何度か繰り返し、アンコールがある場合はアンコールの演奏に入ります。プログラムがすべて終了したあとの流れとしては以下のとおりです。
この場面で一番注意していただきたいのが「フライング拍手」です。曲が終わってから「我こそが先に!!」という気持ちで拍手をする方を、度々見かけますが、その行為は演奏会そのものを壊しているような行為に等しいので辞めましょう。
基本的に曲終わりの拍手をするタイミングとしては指揮者が腕を下ろし、奏者が演奏する体制を崩した際です(楽章間では拍手はしないので注意しましょう)。曲が終わったあとは、聴取、奏者ともに演奏の余韻に浸っています(音の反響がホールから消えるのを待っている)。その中で、拍手をしてしまうと、会場内にいる人達の、今までの最高の気分を台無しにしてしまうので気をつけましょう。
確実な方法としては、誰かが拍手をするのを待つことです。たとえ、聴衆のすべてが初心者で、拍手のタイミングが分からなかったとしても、舞台袖から大きな拍手が聞こえてくるので、心配をせずに、誰かが拍手をするのを待ってから拍手を始めましょう。
公演によっては拍手をする場面
オーケストラの入場
基本的に拍手はしませんが、地方公演などで、拍手をする場合もあります。ですが、一旦拍手を始めてしまうと、オケ全員が座りきるまでの数分間ずっと拍手を続けなくてはいけないので、基本的にこの場面では拍手はしません。
一方で、大学内の身内のコンサートや、アマチュアオケでは、このタイミングで拍手をすることも多いです。
楽章間でのソリストの入場
曲によっては楽章間でソリストが入場することがあります(ベートーヴェンの第9など)。そのときに、拍手をする場合があります。滅多にありませんが、オーケストラ編成の変更による団員の入れ替えの場合もあるので、注意しましょう。
拍手をしてはいけない場面
- オーケストラ登場の前
- 楽章の間・楽章の最中
オーケストラ登場の前
オーケストラ入場の前(舞台無人)の際には拍手は絶対にしません。ここで拍手をしてしまうと、「早く演奏を始めろ」という催促の意味での拍手になってしまうので、オーケストラ入場の前に拍手をしてはいけません。
楽章の間・楽章の最中
咳払いなどをするくらいであれば平気ですが、拍手は基本的にしてはいけません。中にはしてもいい場面もありますが、基本的に絶対にしてはいけないくらいに覚えておいていいでしょう。
楽章間での拍手を避けるために、演奏が始まる前にいくつ楽章があるのか数えておきましょう。不安な方は、無理に自分から拍手はせずに、周りの人が拍手をし始めてしばらくしたら、自分も拍手を始めるようにするのが確実な方法です。
中には楽章間ではなく、演奏中に演奏が終わったような感覚に陥る曲もあるので気をつけましょう。団員・他の観客を含め、なんとも気まずい空気になります。もし余裕があればですが、CDなどでその音楽を予習すると、一番確実で演奏も最大限楽しめ、拍手のタイミングも完璧に行うことができます。
まとめ
フライング拍手は演奏会では犯罪行為に等しいので気をつけましょう。拍手のタイミングは、演奏会にに慣れていない人にとっては、難しいかもしれません。しかし、どこの演奏会にも一人は慣れている方がいるので、無理に自分から拍手はせずに周りの誰かが拍手をするのを待ってから拍手をするのがいいでしょう。
拍手をするタイミングに神経を使うよりも、目の前の素敵な演奏会を満喫していただいたほうが演奏者も嬉しいはずです。